2019年12月03日
『ヒーロー戦記エオレンジャー』第5話「エオレンジャーショーの始まり」
※この物語の世界設定等はオンラインゲーム「Final Fantasy XIV」に準ずる部分が多く含まれます。ただ…ファンタジーな設定は余り出てこないかもしれませんのでご注意下さい。なるべく体験談や事実を元にして行こうと思いますが人物名称等は実在の物とは違う物もあり、時系列も前後したり完全にフィクションの部分も多々あります。
『ヒーロー戦記エオレンジャー』第5話「エオレンジャーショーの始まり」
それからセンジマンはロードストーン上での冒険者の悲しみや怒りの手記を探しては原因となった場所へ向かいギースの痕跡をたどり続けた。そして同じタイミングでグリダニアの街角で定期的に小さいながらも「ヒーローショー」を始めたのである。
「さー寄ってらっしゃい見てらっしゃい!…ソーセージいる?…あ、いらない…そう…。オホン!今日も一人エオレンジャーショーが始まりますよー良い子のみんな!!」
グリダニアのエーテライトから少し西の花屋と天気予報士の居る側道の脇でセンジマンは毎日同じ時間に決まってそう言いながら~誰も居なくても~エオレンジャーショーを開始した。
~~ギースの事もあるけれど、それはそれとして良い子のみんなが少しでも楽しいと思う事が増えれば結果的にギースが寄り付きにくくなるからな…しかもこれなら変身も好き放題毎日出来るから一石二鳥だ!
「さーさー!ちょっと!依頼受けて人を待っているその間だけでも良いから見てって!せめて名前だけでも覚えて帰ってねー!」
誰彼構わず声をかけ、立ち止まったと思ったら空かさず次の一手。
「さぁ、好きな色を言ってみるのだ良い子のみんな!!」
大体の冒険者がここで「ぽかーん」とする。ぽかーんとしたり中には「赤が好き!」等と言ってくれる良い子のみんな~冒険者なのだが~も居てくれる。色を聞いたらそこからがショーの本番。
「そうか赤ね!うんうん。あるよ!!赤あるよ!!!んじゃ…行きますね!」
嬉しそうにセンジマンはエーテルチェンジャーを胸の前に掲げ、叫んだ!
『星の力よ…エーテルチェンジ!!』
『マスク・オン』
『星の力は正義の証…エオレッド・センジマン!!』
ものすごく大声で変身する為、最初は少ない人数だったが「なんだなんだ」と日を追うに連れて観客が少しずつだが増えていった。
「え?金色…ごめん今日は出張にでかけてるんだ…残念!」
「虹色かぁ…虹ってキレイですよね。そうそうキレイって言えばこのまえおじさん新しい洗剤使ったらすごくキレイな白になってね…そうか!!」
『星の力よ…エーテルチェンジ!!』
『マスク・オン』
『白き魔法使い…エオレッド・ホワイトモード!!』
無茶ぶりに対しても出来る変身の色に勝手にこじつけてでも好き放題変身していた。
「虹じゃなくて白になった…っぷははは!」
「センジマーン!虹じゃないぞー!」
そうやって少しでも只々楽しく過ごす事がセンジマンにとってもヒーロー活動なのだ。中にはそれまでの冒険で見知った冒険者も来てくれたりした。
「あー!あの時変身がなんとかって言って遅れた奴じゃないか!…元気そうでってかここでも変身してるのか!」
センジマンも懐かしそうに当時を思い出しながら応えた。
「おー!お元気そうで何よりです!んじゃ今日はちゃんと「華麗な」変身見ていってくださいね!?かれい…カレー…そうか!!」
『星の力よ…エーテルチェンジ!!』
『マスク・オン!』
『香辛料は…力の証!!カレーは飲み物!エオレッド・スパイス!!』
センジマンは新作の「エオレッド・スパイス」と言う全身黄色くなる~もはやレッドとは何だ状態~変身を繰り出した!
「あの時の!!」
突然観客の中から聞き覚えのある声がした。ココがつい口走ってしまったのである。一緒に居たエレシュは何の事かまだ分かってないらしい。
「ココちゃん知ってるのこの人?って毎日同じ時間にこんな事してるから通りすがりに見たとか?」
「え…あ、うんうん!そうそれ!!すごいよねー赤いのに黄色い。さっきは青かったよー(棒読み)」
「二人共この人の事初めて見るの?このおっさ…ゴホンゴホン…変身する人はセンジマンって言ってあんな身なりだけど一応駆け出しの冒険者を支援する資格とか持ってるんだよ…あんな身なりだけど…」
二人の側にもう一人、ヒューラン族の女性が立っていた。センジマンにとっても彼女は心強い仲間であった。少し口は悪かったが…。
「あ!うぉかさんだー!昨日は初任務手伝ってくれて有難うございました!」ココがそう言うと
「ありがとうございました!!」エレシュも続く。
うぉかさん、と呼ばれた彼女はセンジマンがエオレンジャーショーをしながら初心者を支援しようと作った交流のLS~リンクシェル・・・通信でチャンネルを合わた色んな人と話せる機能の事~の仲間である。
「お、うぉかっぺが昨日言ってた初心者の人ってこの二人の事だったのか!よろしくおねがいしますね!」
「おじさんはセンジマン。今はヒーロー活動をしながら色んな所でアレのアレをナニしたりしていますが何かあったら何でも聞いてね!知ってる事ならいくらでもお答えしますよ!!」
センジマンは改めて自己紹介をしたが、二人には言っていることの半分も理解できていないようだ。
「あっハイ…」「…よろしくです。」
そしてLSには一足先に別の任務中にであったディンゴも加入していた。
「ブツ…ガガ…今ココエレって聞こえてきたッスけどもしかしてココちゃんとエレシュちゃん?おーい!オレっちも居るぞー!!よろしくー!!」
ディンゴは通信越しに一生懸命話しかけて居るが二人はまだLSの通信のチャンネルを合わせていないのでその声は届いていない。
「ココエレか…エコレコの方がしっくり来るな。あぁ通信の方の話ね!ディンゴってハイランダーの戦士知ってるかい?LSで二人の名前が出たら知り合いだとか嬉しそうに言い出して。」
するとココが少し考えてから…思い出した。
「あー!エレのお父さん!」
「あ…あの時の…ってお父さんていうのはそういう意味じゃなくて!!」
エレシュも思い出したが誤解を招く言い方を必死に否定した!
「あら。世間は狭いのね。最早誰に会っても誰かの知り合いなんじゃないかって思えてくる。」
うぉかさん~うぉかっぺ呼ばわりはされたくないらしい~がそう言うとはははっと笑った。
「どうする?二人も良かったらリンクシェルの仲間に入る?同じ様な駆け出しの人も結構いるし…合わなきゃすぐ抜けられるからね。困った事があったら色んな色になるこの人がたぶん答えてくれるよ?」
「少し考えさせて下さーい」
ココがそう言うとエレシュも頷いて「お誘いありがとうございます、でもココちゃんと相談してから決めます」と律儀に答えてくれた。
数日後二人もセンジマンのLSに参加する事になった。
・・・
「ねーマスター!鉱山に行くから着いてきてくれますかー!エレとうぉかさんと…あと一人居れば行けるんですけど…あ、あと変身は外でしてから来て下さいね!」
ココはLS通信を早くも活用してくれていた。
「お…おう!んじゃ行きますか!(中で変身するの止められた…やるなエコレコ!)」
「はっははは!センジマンの変身地味に長いから面倒だよねぇ!っははは!」
「これでも時間短くするのすげぇ大変だったんだぞ…!」
ウォーカー~うぉかさんの正しい名前です~がそう笑い飛ばすとエレシュもクスクス笑うのを堪えながら
「私は変身すごいと思いますよ!」っとフォローしてくれた。センジマンはマスクの下で…ちょっとだけ泣いた。
~続く~
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また会おう良い子のみんな!