━やっぱり決め台詞みたいなの考えるのは楽しいですね…
20190712-01

センジマンだ!

毎日書いてると手が「もっと先のほう書きたい」って言い出すんですがあれを我慢するのがけっこう大変です。

さーて…ここからどうなることやら!

ある冒険者のお話⑩~ヒーロー戦記エオレンジャー外伝~

・・・

『『『『エクス・プロテッシェンド!!』』』』

4人の叫びと共に上空から大きな光が溢れ…光は薄っすらと女神の形を取り始める。4人がプロテスさまの力を~平行世界を超えて~呼び集めているのだ。

ピエール「まずは一人目…二人目…矢継ぎ早にどんどん呼ぶぞ!応えてくれ、プロテスさま!!」

ツーリア「オレっちはその間にこの空間ごと他の場所との接点を『防ぐ』…ディバイディングシールド!!」

レンド「空間エーテルの分断係数…オールグリーン!いいですよ!今この空間は順調に切り離されています。ボクはそれを誰かに気付かれる事を『防ぎ』ますね!…ミラージュヴェール!!」

シンシア「私はみんなを『護る』…アシエン!邪魔はさせないわ…私達を認識する事を『防ぐ』…プロテスキン!!」

プロテスさま「…力が溢れてくる…ッ。これなら並行世界の私達だけでも何とか…!!ターゲットはあの箱…アシエン!あなた方の目論見を『防ぎ』ますっ!!」

5人の力が大きな流れを生み空間を切り取り…まずは箱の力の世界への影響を防いだ。アシエンも流石に驚きを隠せない様子だ。

アシエン「おいおいおい…何でそうなるんだ?!…さてはお前ら何か隠し持っていたのか?!ちっ…これじゃぁ計画がパーじゃないか!これで何年分の進行が遅れると思って…」

そこまで言うと両手を広げ少し肩をすくめた。

アシエン「なぁんてな!その『種類』の力ではこの箱は防ぎきれんよ。せいぜい数日って所か。好きにするがいい。ちょっとだけビックリした事だけは本当だから褒めてやる。」

フード越しにも笑っているのが分かる。ニヤついた表情で5人の行動を静観するつもりだ。

ピエール「なんだよ…この種類って…?でも俺たちにはこの力しかない…やるしか…ないんだッ」

シンシア「もしかして平行世界だけじゃダメって言ってたさっきのプロテスさまの言葉がヒントにならないかしら?」

アシエンに聞こえないように5人限定のエーテル通信でやりとりをする。

ツーリア「キョウゾウ世界…か。でもそれこそぶっつけ本番だぞ。オレたちに出来るのか?!」

プロテスさま「理論上は…レンドさんのエーテライザー・グラスリンクを用いて私が交信して道標は出せるかと。そこからは…エーテルの消費が激しいので成功しても私達の身の安全の保証が出来ない…。それを考慮すればリンクできるのは1世界のみ、それでも…危険なことには代わりありません…それでもよければ…。」

レンド「…センジマンが笑ってた意味が分かった気がする。こんな自分が消えるかもしれないけど世界の為に何か出来そうって時…笑うしかないんですねぇ。だってこんなちっぽけなボクらと世界が天秤にかかるなんて笑えますからね!」

やってやりましょうよ!とレンドはメガネとエーテライザーをリンクさせグループポーズの世界へ飛び込んでいった。

・・・

レンド「ボクらじゃひとつの世界としかリンク出来ないって言ってもあの『箱』と同じエーテルを感じ取れば…見つけられるはず…光を『防ぐ』為にリンクするべきたったひとつの『世界』が。」

小さな妖精の様にレンドの意識が漂う。ナノプロテスの効果は小さければ小さい者に程効果が大きく今のレンドになら箱に触れても吸い込まれることはないだろう。

レンド「…っと。ナノプロテスの効果はあってもやっぱり気をしっかり持たないと危ないな…箱のエーテル…その先…もうちょっと…」

奥へ奥へ、でも遠く遠くへと双眼鏡をズームアウトする様に意識を広げていく。すると世界の壁越し?に箱の光が糸状にうっすらとつながる先…光に包まれた部分を見つけた。

レンド「あ…あそこに…行け…ば…?」

朦朧としながらレンドは光の束へと向かう。プロテスさまから離れ、プロテスさまを見つける為に。

???「夢を見ている…わけではないようねこの物体?この若いエーテル…何なのかしらね?楽しそうだから拾って帰りましょう」

妖精の様に小さくなったレンドの意識を誰かがどこかへ持ち帰ろうとしていた。

レンド「ぅ…あぁ…だれ…プロテ…スさま…」

???「私はそんなかたっ苦しい名前じゃ…まぁ言っても分からないだろうから言わないわ。でも妖精って思って頂ければ結構よ?でも幸運だわ!世界渡航者を一人拾えたんだもの!しかも自分の手で!帰ったらみんなに自慢しないとだわ!」

レンドはその妖精に連れ去られてしまった。眩しい、とにかく眩しい。遠のく意識の中でその感覚だけがレンドを覆い尽くしていった。

・・・

~いっぽうその頃~ピエール達は…

ピエール「あの箱…何なんだよ!!ディバインディングシールド食われ始めてないか?!」

黒の霧島では箱から発せられた光が遮断された空間の壁に小さな穴を開け、それをツーリアが塞ぎ直す事が延々と繰り返されていた。

シンシア「みんな…ツーリアにエーテルを集中させて!バランスを変えないと崩れちゃう。」

ツーリア「すまねェ…これならどうだ…ディバインディングシールド・ダブル!!」

プロテスさま「大丈夫、まだ持ち堪えられます!…レンドの意識のリンクゲージが低くなっているのが気になりますが…。信じましょう!」

ピエール「…そうだな。こっちも出来る事やってレンドが戻ってきても笑われないようにしないとな。っとこれで…30人目!!ちぃ、これで限界か…?」

ツーリア「センジマン30と並んだじゃねぇかピエール!次会う時は胸、張れるな。んじゃこっちもシールド3枚目だぜぇ!!」

シンシア「レンド…お願い生きて戻ってきて…」

その願いは…遠くなるほど細く、弱くはなれども確かにプロテスさまの声を伴ってレンドに向かっていた。

プロテスさま「…聞こえ…すか…?…感…じますか…?私です…私…は…」

・・・

世界の壁を超え妖精が妖精の様に小さくなったレンドを妖精の住処に連れ帰ろうと向かい始めた時、声が響いた。

???「それは私の客人です。申し訳ありませんがあなたの好きにさせる訳には行きません。さぁ手をお離しなさい。」

妖精「いやよ!こんなに楽しそうな…なんで真顔ですの…圧をかけているのかしら?!でも、それ相応の対価は求めさせて頂きますわよ!護りの女神!」

護りの女神「仕方ありませんね。では来るべき時あなたが『楽しく』世界を渡れる様計らいましょう。それなら今日と同じ様な楽しい体験がまた出来ますでしょう?」

妖精「あらお優しいこと?等価以上の物で釣るなんて…少し腹ただしいですが。あなたにとっては等価と受け止めて差し上げますわ。」

そういうと妖精はパッとレンドから離れた。

妖精「来るべき時、楽しみにしてますわよ『プロテス』さん?…まったくかたっ苦しいったらないわその名前!」

どこかしら侮蔑的な笑みを浮かべて妖精は去っていった。

・・・

光の中でレンドに語りかける声が聞こえる。

・・・

護りの女神?「あなた、お名前はレンドさん。と言うのですね。私は『護りの女神』とでも言っておきましょう。この世界の護りの魔法を司る物『だった者』の残滓です。」

見覚えのある笑顔、長い髪優しい瞳。レンドはこの存在を知っている。

レンド「あぁ…プロテスさま…!やっと会えた…ッ」

プロテスさま?「向こう世界の私からも微弱ながら連絡が届いております。あなたの腕輪がかの世界の私とこの私を繋げようとしておられるのですね。はじめての体験で少しワクワクしてしまいました…しかし同じ名前というのは頂けません。しかも私はもう残滓です。私の事はそうですね…『プロテスさん』とでもお呼び下さい。」

そういうとプロテスさんはニッコリ微笑んだ。

レンド「えとんじゃぁ…プロテスさん。多分こっちの世界から箱がボクらの世界にやってきてて…何か光を出して闇を吸い込んでるんです。強い人は影響なくて…でも弱い人が…徐々に動かなくなっちゃうって…そんなの面倒くさくて…『護りたい』んです!」

朦朧とする意識を奮い立たせ必死にレンドはプロテスさんに事の顛末を話した。

プロテスさん「なるほどそれは恐らくこちらの世界から消えた『クロノボックス』ですね…。どこにと思っていましたが…まさかそんな遠い所まで…」

クロノボックス…とはプロテスさんによればこうだ。

プロテスさん「『クロノボックス』は時を司る者に寄って管理されていた箱です。こちらの世界は光の氾濫によって世界が崩壊の危機にさらされていまして…その混乱の中で所在が分からなくなっていたのです。時間の概念を飲み込んでいく性質を持つそれは本来あるべきではない時の流れが生じた際に行使する事で世界を平常に保つ抑止力として用いられていたのです。そこにあるだけではそこまで強い力は発揮されないんですが…人間世界に無造作に置かれればいわゆる『弱き者』には効果を表してしまうでしょう。」

レンド「そうなんです。神様の間じゃそんなでもない力でもボクたちみたいな『弱き者』には大変なんですよ。今は仲間が影響が広がるのをプロテスさまと一緒に『防いで』くれているんですが…アシエンが言うには力の種類自体が違うから護り切れなさそうで…こっそりボクがプロテスさんを探しに来たんです。力を…貸してもらえませんか…ッ」

優しい微笑みを湛えながらプロテスさんは答えた。

プロテスさん「可能です。可能です、が…恐らくそこにいるみなさんの事は『護れません』…。それでもよろしいでしょうか…」

レンドの表情が一瞬固まった。

レンド「…すごい!本当にプロテスさまと同じ事言ってる!やっぱりプロテスさんはプロテスさまなんだね!!」

驚くプロテスさんにレンドは微笑みかけた。

レンド「そうかぁ…やっぱりこれ後で誰かに話す時笑っちゃうなぁ…へぇ。そうかぁ…」

プロテスさんは得心がいってないがレンドは続けた。

レンド「大丈夫!もうそういうの全員覚悟出来てますんで!だって…世界とボクらどっちが大事ってもう世界でしょう!?考えるまでもないですよ」

プロテスさん「あぁ…そう…なんですね…。とても尊い事です。出来るなら私はみなさんも『護りたい』と思っています。いえ…やってやるって気持ちで伺います!では具体的な事の説明を…」

レンドはエーテライザー越しにピエール達の事を感じながらプロテスさんと話を続けた。

~続く

第11話

第1話

また会おう良い子のみんな!